活動実績

奈良女子高等学校産学連携探究事業支援

SDGs教育
2025年度

本取組みは、奈良女子高等学校が独自に開発・実践している、奈良公園のシカを題材としたESD(持続可能な開発のための教育)プログラムと、当法人が従来開発した学び旅の視点を融合させた産学連携探究事業支援です。生徒の探究力育成と地域課題解決を目的とした本取組の背景と目的、実施内容、成果および今後の展望について報告いたします。

1.事業の背景と目的

奈良公園は、東大寺・興福寺・春日大社などの世界文化遺産と豊かな自然環境が共存する、日本を代表する歴史的景観であります。この地では、千三百年以上にわたり人と鹿が共生してきた歴史があり、現在も天然記念物である「奈良のシカ」は国内外から注目される存在となっています。一方で、観光客増加に伴う人身事故や生態環境への影響など、現代的課題も顕在化しています。

奈良女子高等学校では、こうした地域資源と課題を教育に活かすべく、独自の探究学習プログラムを継続的に開発・実践しています。本取組は、当法人が令和6年度文化庁「日本博2.0」事業において制作した奈良公園と鹿をテーマとするブックレットおよび映像教材を活用し、企業・地域団体と連携した新たなESD教育モデルを構築することを目的として実施いたしました。

2.連携体制

本取組は、奈良女子高等学校が探究授業の企画・運営を行い、一般財団法人奈良の鹿愛護会および株式会社学びの旅の協力のもと実施しました。奈良の鹿愛護会は鹿の生態や保護活動に関する専門的知見を提供し、株式会社学びの旅は体験型学習およびSDGs学び旅の視点から協働を行いました。当法人が過去事業の教材の提供をきっかけに地域社会と教育現場を結ぶ架け橋としての役割を果たしました。

3.実施プログラム

【Step1】奈良公園探究フィールドワーク
2025年10月16日、奈良公園鹿苑および公園内にて探究フィールドワークを実施しました。生徒は、雄鹿の行動観察や周辺環境の調査を行うとともに、奈良の鹿愛護会職員から繁殖期の鹿の特性、安全な関わり方、保護活動の現状について説明を受けました。
さらに、公園を訪れている外国人観光客を対象にインタビュー調査を実施し、奈良訪問の目的、奈良公園の印象、鹿が野生動物であるという認識の有無などを聞き取りました。これにより、観光と野生動物共生の視点から課題を多角的に捉える学びにつながりました。

【Step2】探究成果発表会
2025年10月30日、奈良女子高等学校にて成果発表会を実施しました。生徒は、奈良における人と鹿の共生の歴史を時代ごとに整理して発表するとともに、フィールドワークで得た気づきをもとに、現代の課題とその解決策について提案を行いました。発表では、「誰が、どのように課題を伝えるべきか」という視点が共有され、SNSやイラストによる情報発信など、主体的なアイデアが示されました。本発表会の様子は奈良テレビおよび奈良新聞により地域ニュースとして報道され、事業の社会的認知度向上にもむすびつきました。

【Step3】奈良SDGs学び旅プラン案報告会
2025年11月28日には、株式会社学びの旅と協働し、新たな「奈良SDGs学び旅」プランの報告会を実施しました。生徒は「奈良の推し鹿カードづくり」「スタンプラリーin奈良公園」などの体験型アクティビティを提案し、観光と学びを結び付けた新たな視点を提示しました。

オス鹿の行動と周辺環境の調査
外国人観光客へのインタビュー
歴史授業と紐づけた課題と解決策の提案
観光課題解決に向けた独自のアクティビティの立案

4.成果と評価

本事業を通じて、生徒は地域に根差した課題を自ら調査・分析し、考察・発信する探究力を高めることができました。また、奈良の鹿愛護会や企業との協働により、教室内にとどまらない実社会と接続した学びを体験し、キャリア意識の醸成にもつながりました。
当法人にとっても、日本博2.0事業で制作した教材を教育現場で活用する具体的なモデルケースとなり、文化資源を次世代へ継承する新たな可能性を示す成果となりました。

5.今後の展望

今後は、本事業で得られた知見をもとに、他の教育機関や地域団体との連携を拡大し、持続可能なESDプログラムとして発展させていく予定であります。また、鹿を軸に鹿と人間の共生を考えるネイチャーポジティブ教育の観光プログラムや地域施策へとつなげることで、教育と地域振興の好循環を生み出すことを目指します。

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