活動報告書(2024年度)

 

Theme1 奈良SDGs学び旅

奈良新しい学び旅推進協議会は、2020年度以来取り組んできた「奈良SDGs学び旅 ー 教育旅行」を運営し、令和6年度末時点で累計約120校(約11,600名)の実績を残しました。併せてガイド団体への支援、全国レベルで学校や旅行代理店への提案、修学旅行を取り扱う旅行会社向けに紹介イベントの開催(ファムトリップ)、学級新聞(メルマガ)の発行にも取り組みました。2025年以降は、株式会社学びの旅に業務移管致します。

 

【A】奈良SDGs学び旅―2024年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞受賞

持続可能な社会の創り手育成と県内観光産業の振興に向け2020年度より取り組んできた「奈良SDGs学び旅」事業は、今年度全国商工会議所の「きらり輝き観光振興大賞」の大賞を受賞いたしました。奈良の歴史や自然をSDGsの視点で学習・体験することで、新しく学習指導要領で示された「持続可能な社会の創り手の育成」に寄与する学習プログラムで地域の歴史文化資源を活用し、SDGsの視点を盛り込んだ着地型観光商品の造成に取り組んでいる点が高く評価されての受賞となりました。

 

コンテンツ開発の経緯

奈良SDGs学び旅は、2020年度にスタートし、持続可能な社会の創り手育成と県内観光産業の振興を目的としています。奈良の歴史、文化、自然との共生をテーマに、観光客が地域の伝統や文化を深く学ぶことができる新しい旅のスタイルを提案しています。
「奈良新しい学び旅推進協議会」を設立し、奈良教育大学、奈良商工会議所、奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合などが連携しています。また、観光庁、奈良県、奈良市の補助金を奈良SDGs学び旅の企画・開発・発信に必要な資金として活用致しました。

全国観光振興大会 観光振興大賞授賞式
事例発表を行う川井徳子専務理事

 

【B】奈良SDGs学び旅―教育旅行

今年度、教育旅行の分野では31校(2,881名)の実績を残し、2020年度からの累計も約120校(約11,600名)の実績を残しました。

 

■奈良SDGs学び旅 2024年度実績報告(2025/3/31時点)

教育旅行計 小学校 中学校 高校 合計
件数 4 22 5 31
人数 197 2,359 325 2,881

 

【C】奈良SDGs学び旅―教育旅行プロモーション

2024年度は、奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合奈良支部と連携して、奈良ならではの過ごし方を体験いただき奈良の良さ・奥深さを認識いだだくため、旅行会社・学校関係者向けに奈良教育プログラム無料体験会を実施しました。併せてガイド団体への支援、学級新聞(メルマガ)の発行にも取り組みました。

 

①奈良教育プログラム無料体験会

【実施概要】
実施日:2025年1月31日(金)~2月1日(土)
会 場:ホテルアジール・奈良
参加者:10名(旅行会社7名含む10名)
体験内容:SDGs講義(講師:大西浩明先生)東大寺フィールドワーク・鹿寄せ他

 

SDGs講義の様子

東大寺フィールドワーク

3/5 読売新聞の無料体験会取材記事

 

②奈良SDGs学び旅 ガイド研修

SDGs講義体験やSDGsガイドでお願いしたいこと等を盛り込み、ガイドをしていただく際のベースとなる情報やガイドからの質問など意見交換を実施。
【実施概要】
実施日:2024年 9月30日(月)
会場:奈良商工会議所
参加者:28名(なら・観光ボランティアガイドの会朱雀24名、春日山原始林を未来へつなぐ会4名)
講師:中澤静男先生(奈良教育大学 ESD・SDGsセンター長)

 

③学び旅学級新聞の発行

2022年1月に第1号を配信したメールマガジン「学び旅学級新聞」は、皆様に支えられ、2025年1月21日に第60号を発行いたしました。また、4コマ漫画「はばたけルリセンチ」では、奈良女子高等学校のアニメーション部の皆さんとのコラボ作品も配信いたしました。

 

Theme2 「関西・歴史文化首都フォーラム」推進事業

当公益社団法人では、2020年の「関西ビジョン研究会」、2021年からの「関西歴史文化首都構想研究会」で2025年に開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)を起爆剤にして観光客増大と国際交流促進により関西を再興させる機運を盛り上げてまいりました。「関西・歴史文化首都フォーラム」推進委員会は、大阪・関西万博の「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマの実現にあたって、先人の知恵や遺産が集積した“歴史文化”が、未来を創造していく上での大切な道標の一つではないかと考え、日本の歴史文化の首都ともいえる2府4県(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)からなる関西で、万博開催までの期間、各府県でフォーラムをリレー開催しました。

 

関西・歴史文化首都フォーラム in Nara  「源」The Place Where It All Began ー はじまりの場所 ー ~大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創チャレンジ事業~

奈良県は“はじまり”の場所であり、その地から創出してきた数々の文化のイノベー ションがあります。それらを探り、学ぶことで、今に息づく日本文化の大切な「源」と、いにしえより続く人々の幸せを願う祈りを未来につなげていくことを願い、このフォーラムはそうした営みの “はじまり” となることを目指して開催されました。
当公益社団法人は、奈良で開催された「関西・歴史文化首都フォーラムin Nara」の奈良実行委員会の事務局を務め、川井徳子専務理事は奈良県実行委員会チーフプロデューサーとして準備を進め、全体の企画立案に加え、基調セッションと統括セッションのモデレーターとしても登壇しました。

(山下奈良県知事はじめ延べ20名以上の登壇者、シンポジウム参加者205名、懇親会参加者130名、2025/5/16(木)開催)

シンポジウムは奈良県バスターミナルレクチャーホールをメイン会場に、1F、2Fを全て活用し、6つのセッションに加えて、伝統産業ブース(奈良商工会議所協賛)、奈良酒の鏡開き、この日のお酒のために企画したオリジナルの料理とのマリアージュを楽しむ懇親会(奈良県酒造組合・共栄会等協賛)などのイベントで終日賑わいを見せました。

 

 

Theme3 奈良県の新しい観光実証事業

国内外からの観光客は前年度比で31.3%の増加となりました。奈良での滞在時間を延ばし観光消費額をあげるため、「鹿と大仏」という固定概念に頼らず、有形・無形の文化遺産が融合する奈良を再ブランド化するコンテンツの造成と実証を行いました。

 

【A】インバウンド向け事業 ~文化庁 日本博2.0 最高峰の有形と無形の文化遺産が融合する聖地・奈良公園の国際ブランド構築・発信事業

奈良の日本の歴史や文化の「源」としての魅力を訪日外国人向けに再発信し、奈良公園を世界的ブランドにするため、有形と無形の文化遺産の融合をテーマにした5つのモデルツアーの開発、分かりやすいブックレットや動画の制作、海外での認知度調査などを実施しました。

 

取組1 5つのモデルツアーのの開発・実証

奈良公園を中心に神仏習合の歴史文化、鹿と人と自然の共生の歴史、伝統芸能などの文化遺産を体感できるツアーを開発し、英語・中国語のガイドブックと通訳ガイド付きで実施。全ツアーでアンケートとヒアリングを実施しました。

 

1-1 「伝統的酒造り」と「和食」日本の食文化の「源」を体感する旅 「日本清酒発祥の地・正暦寺を楽しみつくす」

伝統の酒造りを象徴する特別な酒「菩提泉」の二度仕込みを体験していただきました。あわせて、正暦寺と酒造りの歴史に関する講和、正暦寺伝統の精進料理と菩提?8種の飲み比べによるペアリングランチ、「酒づくり」にちなんだ書道体験をプログラムに組み込んで実証しました。(2025年1月25日(土)実施)

 

大原住職による講和

正暦寺伝統精進料理

書道体験

「菩提泉」二度仕込み

 

1-2 「伝統的酒造り」と「和食」日本の食文化の「源」を体感する旅 「神話の酒を巡る旅・大神神社と紅葉の談山神社」

酒の神を祀る大神神社の神事「醸造安全祈願祭」と、紅葉の名所・談山神社の特別参拝を実施しました。地元酒蔵の地酒と料理を楽しむガストロノミーランチ、外国人にも好評だった伝統行事「蹴鞠」も体験していただきました。これまで一般参列ができなかった「醸造安全祈願祭」へ、初めてツアーとして参列しました。 (2024/11/14(木)実施)

 

伝統行事「蹴鞠」

神楽「うま酒みわの舞」

醸造安全祈願祭

談山神社特別参拝

 

1-3 有形の文化遺産を支え続ける「伝統建築工匠の技」と千年に渡る修復や勧進、再興の物語をSDGsの視点で巡る旅

今も修復を続ける薬師寺の宮大工による伽藍解説と槍鉋体験。持続可能な修復を支えるお写経勧進。当初は英語ガイドのみを予定していたが、中国語ガイドを確保し、唐招提寺ルートとして組み込むことで中華圏向けのツアーとしても実証しました。2024/11/16(土)、2024/12/6(金)、2025/1/18(土)実施

 

槍鉋体験

ご僧侶の解説とお写経勧進

石井棟梁による東塔解体解説

大工道具の歴史解説

 

1-4 「能楽」「雅楽」を外国人でもわかりやすく・五感で楽しめる観劇ナイトプログラム

外国人にとって難解な能楽を、通訳ガイド付きナイト観劇や能面・雅楽器体験を組み込んだワークショップとして構成したナイトプログラムを実証しました。演目にちなんだ奈良公園内の能楽ゆかりのスポットを巡る、観劇翌日のガイド付きツアーも実施しました。(2024/12/23(月)―12/24(火)・2025/1/21(火)―1/22(水)実施)

 

能面体験

幽玄と華麗の美学が調和する演目「春日龍神」

雅楽器体験

奈良公園内能楽ゆかりのスポット巡りガイドツアー

 

1-5 侘茶発祥の地・奈良で日本独自の美学、奈良公園の千数百年の歴史を五感で感じとる茶会体験

侘茶発祥の地奈良の伝統的茶会を「奈良公園の悠久の歴史」をテーマに、特別な演出、茶道に通じた通訳ガイドや翻訳ツールなどの活用でわかりやすく五感で感じる茶会として催行しました。(2025/1/21(火)実施)

 

伝統的な濃茶会

春日龍神にちなんだ茶道具の数々

立礼式の薄茶会

茶道に通じた通訳ガイドの案内

 

取組2 テーマ別多言語ツール等の制作・ガイド人材育成を通じた受け入れ体制の整備、及び海外での奈良認知度調査の実施

 

2-1 歴史文化の聖地「奈良公園」の千数百年の歴史をテーマとした、書籍型テーマブックレット(英語版)の企画制作

奈良公園全体の価値をインバウンド向けにわかりやすく物語化し、外国人にも伝わる書籍型ブックレットを制作しました。原作は奈良の歴史に詳しい地元作家、翻訳は日本文学にも精通する英国人詩人が担当し、日本的な歴史観が深く伝わる内容としました。(英語版・A5サイズ・カラー44ページ・2,000冊)

 

2-2 テーマショート動画(英語版)の企画制作

聖地・奈良公園が育んできた「歴史」「文化」「神仏習合」「芸能」「自然と人と鹿の共生」などをテーマに、スマートフォンでも視聴可能なショート動画を3本制作しました。これらの動画は、多くの外国人観光客に視聴され、日本各地を巡る長期滞在者の「旅ナカ」における奈良への立ち寄りのきっかけとして今後も活用していきます。
Environment ~Deer and People~
Mythical World
Shinto-Buddhism Syncretism

 

2-3 対話と交流の旅をサポートするテーマ別多言語人材育成と英語版ガイドツール制作

ガイド研修の実施、オリジナルガイドブック制作、レポート動画、ツアーチラシ、ポストカード、汎用可能な実施マニュアル、英語版各種サイン等の制作、ツアーコンテンツタリフ等

薬師寺簡体チラシ

 

2-4 2024オーストラリア酒フェスティバルにて奈良認知度調査の実施

 

【B】事業連携ー日本食の聖地巡礼・NARA ガストロノミーツーリズム

日本食の聖地巡礼ガストロノミーツーリズムセミナー 奈良

本事業は、観光庁「令和5年地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業」に採択された奈良県ビジターズビューローのプログラムを基に、日本清酒発祥の地ならではの日本食文化のルーツを巡る奈良県の歴史的・文化的背景と結びついた食文化体験を提供し、観光資源としてのガストロノミーツーリズムを推進することを目的として、旅館経営人財育成アカデミー(JTB旅ホ連)が主催したツアーです(2025年2月18日(火)・19日(水)実施)。
特に、日本清酒発祥の地である奈良において、地場の食材・伝統・食文化に触れるコンテンツを通じ、観光客の誘致及び地域経済の活性化を図るために、全国の経営者、管理職、女将、調理・企画・販売担当者向けに開催されました。当公益社団法人の専務理事である川井徳子が、「宿泊施設のためのガストロノミーツーリズムの取組」というテーマで講演を行いました。

 

【C】地域連携―奈良県受託事業

「始まりは奈良」をテーマに、全4回のトークイベントを開催しました。
奈良発祥の文化にゆかりのある多彩なゲストをお迎えし、奈良の魅力を深く伝えるとともに来場者との質疑応答など登壇者との交流の時間も設けました。これにより、参加者の理解促進および満足度の向上が図られ、登壇者やテーマへの関心を高める機会となりました。

 

大人のならびと見聞録

No 開催日 参加者数 テーマ
1 10/3 198名 笑い飯哲夫のおもしろ仏教講座
2 10/27 73名 奈良大和四寺巡礼
3 12/18 72名 菩提?と古代酒の復活
~日本清酒発祥の地:奈良/正暦寺~
4 2/15 139名 仏像の楽しみ方講座 ~仏像ってこんなにおもしろい!!~

 

第1回

第2回

第3回

第4回

 

【D】団体連携―大学その他の機関との連携

明治大学地域経済研究所

当公益社団法人の飯田泰之理事が所表を務める明治大学地域経済研究所では、マクロ経済学と地域経済学の連関に注目し、特に日本における地域間経済格差や、人口減少に伴う地域経済の変容について実践的な研究を進めています。2024年度奈良県においては、地域内起業の促進、地域外販売の拡大、多様な採用戦略の推進という地域経済循環の改善に向けた提案を講演活動・関係者対話などを通して提示しました。客員研究員との共同研究では、電力消費データを用いたサービス産業の地域別動向分析、地域別景気動向指数の作成について取り組んでいます。当公益社団法人は、これらの研究を通して地域連携を深化させ、現場に根ざした研究活動を続ける研究所の活動を支援いたします。

明治大学地域経済研究所2024年度活動報告

 

奈良県酒造組合

「伝統的酒造り」に関するUNESCO無形文化遺産登録は日本清酒発祥の地である奈良にとって「酒造ツーリズム」による地元酒造の事業拡大のチャンスです。当公益社団法人は観光都市奈良と日本清酒発祥の地奈良を融合させて、訪日外国人を魅力あふれる奈良に誘い、酒造の事業拡大と奈良県の観光振興に貢献する奈良県酒造組合の活動を支援いたしました。

「ITF台北国際旅展」に出展し、奈良の蔵元ツーリズムのプレゼンを行う奈良県酒造組合

 

Theme4 中小事業者への経営支援

当公益社団法人は、中小企業診断士を擁する強み、認定経営革新等支援機関としての実績、さらに関係機関との密なネットワークを活かしながら、奈良県内の中小事業者の経営課題を解決するためのきめ細かな支援を行っています。

 

ポストコロナの時代を迎え、また2025年の「大阪・関西万博」を見据え、県内でもインバウンド需要を中心に経済活動に活気が戻って着た感がありました。しかしながら、国内外の多様な要因に端を発する円安や物価高、人手不足、賃上げ拡大等の影響を受け、多くの中小企業や小規模事業者では依然として厳しい状況が続いています。
こうした状況を踏まえ、当公益社団法人は、数多くの県内中小事業者を対象に、事業再構築に向けた現状分析、事業計画策定から実施評価と改善に至る一連の活動をサポートしてきました。
とりわけ、事業の活性化と飛躍を後押しする中小事業者向け補助金制度の積極的な活用を提案し、補助事業への応募申請、採択後の交付申請、補助事業の遂行、実績報告、補助事業終了後の事業化状況報告に対する支援を実施してきました。

 

【1】(中小企業庁)中小企業等事業再構築促進補助金

公募回 市町村 事業者名 事業計画名
第4回 奈良市 株式会社 春 春ブランドの知名度を活用したFC事業とEC販売への挑戦
第7回 奈良市 カフェアンドレストラン プール フランス仕込みのシェフによるフランスの本格焼き菓子店の開発
第8回 大和高田市 株式会社 鈴木運輸 健康志向にシフトする社会へ運送会社が野菜加工事業で挑む!
第12回 奈良市 木村庭園 株式会社 庭師が挑戦する庭と観光デジタル化をテーマにした観光施設事業

 

【2】(中小企業庁)小規模事業者持続化補助金

公募回 市町村 事業者名 事業計画名
第14回 奈良市 山田孝二 食と農の知識を活かした 60 歳からの新規開業への挑戦
第14回 奈良市 野球教室 Growing 地域と密着した関係性を築く!野球教室の新たな挑戦

理事紹介

役職名 氏 名 現 職
代表理事 日置 弘一郎 理事長
専務理事 川井 徳子 ノブレスグループ 代表
理事 飯田 泰之 明治大学政治経済学部 教授
理事 馬場 正哲 株式会社地域計画建築研究所 顧問兼主席研究監
理事 岩井 洋 帝塚山大学文学部 教授
理事 中澤 静男 奈良教育大学教育連携講座特任教授・名誉教授
理事 大江 忍 一般社団法人 伝統を未来につなげる会 専務理事
理事 田中 俊行 田中いけばな教室 代表
監事 高瀬 哲也 税理士法人高瀬会計事務所 税理士

 

理事名簿(2025年4月1日現在)(PDF:198KB)

 

代表理事 日置 弘一郎

日置 弘一郎

<経歴>

京都大学名誉教授、鹿児島大学客員教授、広島大学客員教授。1972年京都大学経済学部卒、1977年大阪大学大学院経済学研究科後期課程中退。茨城大学社会科学部助手、京都学園大学(現京都先端科学大学)講師を経て、1983年九州大学助教授、1992年京都大学助教授、1999~2015年京都大学経済学研究科・経済学部教授。2015年鳥取環境大学経営学部教授、2018~2020年就実大学経営学部教授を経て、現在に至る。近著として、鹿児島大学稲盛アカデミー叢書第二巻「利他の構造」を奥野明子らと執筆しミネルヴァ書房から刊行、東洋経済新報社「人材育成事典」項目執筆。所属学会は、経営人類学会、しごと能力研究学会。

<活動・研究内容>

専門は、組織論、経営人類学。社会の中での企業の役割を考えることが研究テーマの中心としている。
ものづくりについてのビジネスモデルの多様性を分析する事業創成という学問を考えた。また、企業と他の社会的主体(家庭や地域社会、他の事業主体など)との共生を考える共生経営という領域を提唱している。さらに、国立民族学博物館の共同研究として経営人類学という理論領域を作り出し、20年以上継続して研究している。
一方、九州大学在籍時に福岡県の水産物付加価値向上委員会の委員長を務め、水産物への関心は高い。また、旅館の女将さんの研究にかかわるなど地域経済や地域経営といった領域でのテーマについて関心を持つ。さらに、最近は産業集積に関心を持ち、単一の企業を最適化するというこれまでの経営学ではなく複数企業の相互最適化という枠組みで経営学を再構成する構想を追求している。


専務理事 川井 徳子

川井 徳子

<経歴>

1981年立命館大学(文学部西洋史学専攻)卒業。国立博物館評議員。創業の地である奈良県を中心に、西日本でホテル経営などの観光・宿泊事業、物流事業、不動産事業を幅広く展開しているノブレスグループの代表。近代日本庭園「植治の庭」の再生に貢献。著書に『不動産は「物語力」で再生する』(東洋経済新報社)などがある。造園技術学会発行の学術誌に独自の分析を踏まえた「庭園・邸宅ビジネスの可能性」についての論文を寄稿。2020年11月観光庁の実証事業の採択を受け、奈良教育大学を中心に、県、市と協力し、奈良でSDGsを学ぶ「奈良新しい学び旅推進協議会」を立ち上げる。主な所属学会は、日本経済学会、日本造園学会、日本ESD学会、イベント学会。

<活動・研究内容>

今年は景気循環学会の事務局に関わったことで日本の経済成長について改めて考える機会となりました。コロナが開けた瞬間に物価が上がり始めました。どうしてもロシアによるウクライナ侵攻が原油価格を押し上げた結果と円安が原因と考えられています。
一方で、為替の問題もあって日本人の賃金が下がった、下がったと大騒ぎです。実力以上の円高が国際競争の中で日本の賃金上昇の足を引っ張ってきました。2015年にスイスに行ったときに、チューリッヒの最低賃金が時給2400円と聞いて驚きました。当時東京の平均賃金は790円でした。円高に騙されて日本は豊かになったように誤解していたのです。
これほどの臨院格差が2015年の時からあったのです。
物価が上がる以上に賃金、特に手取りが増える社会を以下にして実現するか。そのことがいま問われているように思います。


理事 飯田 泰之

飯田 泰之

<経歴>

1975年7月 東京都生まれ 埼玉県日高市育ち
1998年3月 東京大学 経済学部 卒業
2000年3月 東京大学大学院 経済学研究科 修士課程 修了
2003年3月 東京大学大学院 経済学研究科 博士課程 単位取得退学
2003年4月 駒澤大学 経済学部 専任講師
2007年4月 駒澤大学 経済学部 准教授
2013年4月 明治大学 政治経済学部 准教授
2022年4月 明治大学 政治経済学部 教授(現職)

<活動・研究内容>

地域間人口移動の観点から高圧経済論について研究を進めている。高圧経済論の要諦は低生産性部門から高生産性部門への労働力・生産設備の移動にある。そのなかで近年注目される観光産業の果たす役割は小さくない。中核となる産業と観光業のシナジーを得るためには何が必要なのか。明治大学地域経済研究所との連携を通じて、フィールドワークを含めた多様性ある研究成果を目指している。


理事 馬場 正哲

馬場 正哲

<経歴>

株式会社地域計画建築研究所顧問兼主席研究監。1973年関西大学工学部建築学科卒業、同年株式会社地域計画建築研究所(アルパック)入社。取締役計画部長・総務部長・副社長を経て現職。地域計画とともにニュータウン計画、市街地再開発・都市開発プロジェクト、地域・産業・観光・文化振興計画、市街地・環境・景観整備計画、建築・ランドスケープ計画を担当。技術士、一級建築士、一級造園施工管理技士、再開発プランナー、元認定都市プランナー、マンション建替えアドバイザー。(一社)再開発コーディネーター協会、(公社)日本建築家協会、(一財)日本グラウンドワーク協会に所属。著書:都市再生・街づくり学~大阪発・民主導の実践~㈱創元社(大阪市街地再開発促進協議会編・共著)などがある。所属学会は、日本都市計画学会、日本建築学会、日本観光研究学会。

<活動・研究内容>

まちづくりの根本は、地域が健全に地域を統治する意識と仕組みができていることだと考えます。かつての日本には合議による地域運営が培われていたといわれます。しかし、明治維新の富国強兵の中央集権・国家高権、敗戦による復興・経済成長最優先や一極集中、グローバル化などの混乱を背景に、地域での主体性が曖昧模糊となり、健全な国家の土台が揺らいで久しい。今日漸く、官から民へ、市民が地域を担う時代が求められるようになり、このことも混乱の課程でもあります。大事なことは、ネットワーク型まちづくりの仕組みを息づかせることと考え、生命体のシステム(三つの系)をまちづくりに構築することを実践的に考えています。 ①神経系:地域自治の体制を構築/自治会等の再生/市民の自覚/行政の改革(アウトリーチ) ②免疫系:ネットワークの構築/多様な活動の連携・情報の共有・学習機会の共有 ③中枢系:地域理念の堅持/構想をもつ /「造化」の再生(万物生成、創造変化、自然、創造し化する:列子「周穆王篇」)を目指しています。
最近では、尼崎の「田能の里芋」保全・振興・販売拡大に市民が都市農地で取り組み、ブランディングから、地域のテリトーリオ戦略に昇華させる試みに取り組んでいます。


理事 岩井 洋

岩井 洋

<経歴>

帝塚山大学文学部教授。1991年上智大学大学院博士後期課程単位取得退学。帝塚山大学経済学部教授、同副学長を経て、2012年より2017年まで同学長、2025年より現職。日本宗教学会理事、奈良シニア大学学長、NPO法人五新線再生推進会議理事長。専門は、宗教社会学、経営人類学。著書に『オルファイズム:岡田良男とオルファ株式会社の挑戦』(オルファ株式会社)、『大学論の誤解と幻想』(弘文堂)、『現代社会を宗教文化で読み解く』(共著、ミネルヴァ書房)、『キャリアデザイン』(共著、弘文堂)、『アジア企業の経営理念』(共著、文眞堂)などがある。所属学会は、日本宗教学会、韓国日本近代学会など。

<活動・研究内容>

地域社会への貢献活動として、「五條市地域・産業ブランド推進協議会」の座長をつとめ、同市における地域商社の運営を支援している。また、奈良シニア大学で学長をつとめ、奈良校、橿原校、東京校とともに大阪校を開設し、シニア層に学びの機会を提供している。研究活動としては、宗教とビジネスあるいは経営との関係と分析する「宗教の経営学」と「経営の宗教学」を研究中である。また、産官学が連携する研究プラットフォームとして「経営人類学研究会」を主宰している。さらに、2025年に日本で開催される国際会議「グローバル・ビジネス人類学サミット」の主催者として準備活動をしている。


理事 田中 俊行

田中 俊行

<経歴>

2005年同志社大学文学部美学芸術学科卒業。大学在籍時には、華道史といけばなの定義についての研究を行う。大学卒業後は、野村證券株式会社にて地域優良法人やそのオーナーなどに対し、金融商品や不動産、資本強化など幅広い提案業務に従事。2013年に退職後、2016年まで一般財団法人池坊華道会において所属する400支部14,000名の先生に対する教室運営などのサポート業務を行う。2016年からいけばな教室を引き継ぎ活動している。2021年より中小企業診断士として活動。延べ100社以上の経営支援に携わる。現在は、経済性と社会性を合一した事業作りの支援や奈良県内の地域企業ネットワーク作りを行っている。

<活動・研究内容>

私は日本文化の将来にわたる持続維持を研究テーマとしています。いけばなはバブル前にその門弟数が最盛期を迎え、その後は減少の一途をたどっています。日本の伝統文化や技芸はいけばなと同じ状況であり、これらをどのようにして今後の社会の中で持続可能にしていくことができるかに挑んでいます。また、当公益社団法人内において中小企業支援の担当理事として活動を行っており、その視点からみてこの時代の大転換期において伝統産業を後世に遺していけるかどうかの瀬戸際にあると考えています。今の社会の延長では消えゆく産業や文化なのであれば、今の社会を変革するしか他はないと考えています。本年度は1人でも多くの有識者の方とお話をして、日本の伝統産業や文化・技芸を遺していける社会づくりに向けて活動します。


理事 中澤 静男

中澤 静男

<経歴>

奈良教育大学教育連携講座特任教授・名誉教授、日本ユネスコ国内委員会委員
1960年大阪市生まれ 奈良県立郡山高等学校、立命館大学文学部史学科卒業
奈良教育大学大学院教育学研究科社会科教育専攻修士課程修了。奈良市教育委員会指導主事を経て、2011年より現職。
所属学会:日本ESD学会、産学連携学会

<活動・研究内容>

ESDは価値観と行動の変革を促す教育です。価値観の変革は見えないので、行動の変革から学習効果を判断することになります。行動の変革を促すものは感情であることが、脳科学の知見より明らかになっています。感情に影響を与えるのは、内臓からの刺激と記憶の痕跡です。内臓の刺激はホメオスタシスによって、良し悪しが判断され、それが感情の快・不快に反映されます。記憶の痕跡とは経験や学習の記憶で、特にヒトは言語をもっているので、言語による影響が大きいのかもしれません。世界中の人々に、また将来世代の人たちにも通用するようなESDを目指して、脳科学の知見をESDに活かす方法を研究しています。


理事 大江 忍

大江 忍

<経歴>

1983年名城大学理工学部建築学科卒。一級建築士。2006年、設計事務所と木造専門工務店である有限会社ナチュラルパートナーズを設立、代表取締役として現在に至る。2013年より(一社)職人がつくる木の家ネット 代表。2018年より(一社)伝統を未来につなげる会 専務理事。2018年より愛知産業大学招聘教授。日本建築学会に所属。愛知建築士会会員。

<活動・研究内容>

(一社)伝統を未来につなげる会においては、2024/5後藤治会長と三井所清典理事が、関西・歴史文化首都フォーラムの基調セッションに参加し後援をさせていただきました。また、2024/10/23「古の人の祈り」を未来につなぐin薬師寺の見学ツアーに協力。2025/3/20平城旧跡・東楼復原整備工事現場見学会への協力いたしました。
個人の事業といたしましては、所属する愛知建築士会において、気候風土特別部会の部長を去年に引き続き留任となり伝統的構法住宅の普及促進および社会的認知、省エネ法に対する「愛知県気候風土適応住宅運用基準」の策定に関する協議を愛知県建築指導課と進めて雛形の作成中です。会社事業としましては、茶室のある土壁の家や国交省補助事業の気候風土適応型住宅の庫裏など設計施工の現場を手がけました。

会員募集

会員募集、ご寄付のお願いについて