当公益社団法人は、奈良をはじめ関西を元気にする取り組みとして、「関西ビジョン研究会」を関係機関と一体となって推進しています。
万博を起爆剤に! 歴史文化力による関西の再興
世界遺産や国宝、重要文化財が多数集積している関西は、まさに日本の「歴史文化首都」です。そして、来る2025年の大阪・関西万博は、首都圏への人口流出が加速化し関西の地盤沈下が叫ばれる中、関西が持つ圧倒的な魅力を国内外に発信する重要なタイミングと言えます。
万博を起爆剤に、観光客増大と国際交流促進により関西を再興させる! こうした機運を醸成するために、地方シンクタンク協議会・近畿ブロック、株式会社地域計画建築研究所、及び当公益社団法人は、2020年6月に「関西ビジョン研究会」を立ち上げました。
第1回研究会の開催
「関西ビジョン研究会」は、8月28日(金)、「万博を軸に関西の観光力の再興を」をテーマとする第1回研究会をホテルアジール・奈良で開催しました。コロナ禍での開催を鑑み、会場参加者を関西の文化振興に深く関わる産官学の20数名に限定しましたが、併せてWebでの配信も実施することでより多くの方に視聴いただけるよう配慮しました。
研究会は2部構成とし、第1部では、イベント学会副会長であり平城遷都1300年記念事業「平城遷都1300年祭」のチーフ・プロデューサーを務められた福井昌平氏に、『ふりかえれば、未来!!「関西・歴史文化首都」プロジェクトと「2025大阪・関西万博」』と題する講演をいただき、過去の博覧会の成功の秘訣や、大阪・関西万博を成功に導くアイデアについて伺いました。
冒頭でも述べたとおり大阪・関西万博が関西の「歴史文化首都」としての魅力を国内外に発信するまたとない機会であること、万博の成功に向け「地球市民」としての感性の育成と連帯が必要であること、また関西の魅力を更にアピールするために「関西・スポーツ首都」「関西・食文化首都」も戦略として取り上げることも効果的であること、さらに「歴史文化首都=関西」を世界に向けて構築するため国際記念物遺跡会議(ICOMOS)世界総会を関西に誘致することも大事であることなど、数多くの博覧会事業を手掛けてこられた名プロデューサー福井氏ならではの視点や着眼点に満ち溢れた講演となりました。
続く第2部で、福井昌平氏を囲んだ懇親会を行いました。会場参加者のほぼ全員が参加し、各々の関西再興への熱い思いが活発に交わされた有意義な懇親会となりました。
当公益社団法人は「関西ビジョン研究会」の中核組織として、来年度以降も研究会を継続開催し、コロナ後及び万博を見据えた関西再興への機運を盛り上げていく予定です。
関連サイト
当公益社団法人は、持続可能な社会の創り手育成と県内観光産業の振興に向け、奈良を舞台とする新しい学び旅の企画・開発・発信に取り組んでいます。
持続可能な社会を創る新しい旅のスタイル
2015年の国連サミットにおいて、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が採択されました。SDGsは、持続可能な社会実現に向け、2030年までの達成を目指す17の目標と169のターゲットで構成されています。
翻って、奈良に目を向けると、そこには1,300年前からの建造物、仏像、伝統行事、自然との共生の営み等が今も絶えることなく受け継がれています。東大寺の大仏様は752年の建立以来2度も焼失しましたが、そのたびに当時の人々の協力で復興されました。同じ東大寺の伝統行事である二月堂の修二会(お水取り)は、752年以来一度も中断することなく続いています。また、奈良公園のシカは人を見ても逃げません。1,000年以上にわたる人とシカとの共生の歴史がここにあります。
さて、修学旅行をはじめとするこれまでの奈良観光といえば、大挙してお決まりの観光スポットを短時間で見学して日帰り、というものでした。しかしながら、観光客は、今や単なる物見遊山ではなく、その地域の伝統や文化について深く学ぶことができる旅を求めています。であるならば、じっくり時間をかけて自然散策や施設回遊を深く体感・体験し、1,300年以上も持続してきた奈良の魅力に浸りながら持続可能な社会への思いを巡らす、そのような新しい旅のスタイルを提案することで観光客のニーズに応えていかねばなりません。
産・官・学で推進協議会設立、国や自治体の支援金・補助金を活用
こうした背景から、持続可能な社会実現への次世代の育成とコロナ後における県内観光産業の振興に向け、「奈良SDGs学び旅」の企画・開発・発信に取り組みました。
取り組み開始にあたり、奈良商工会議所 峯川郁朗専務理事を会長とする「奈良新しい学び旅推進協議会」(奈良商工会議所、奈良教育大学、奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合、奈良県ビジターズビューロー、奈良市観光協会、奈良県、奈良市、及び当公益社団法人で構成)を設立し、当公益社団法人が事業の全体企画や事務局運営等を担いました。一方、取り組みに必要な資金として、観光庁、奈良県及び奈良市からの支援金や補助金(観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業支援金、奈良県新型コロナウイルス感染症対策観光振興補助金、奈良市新型コロナウイルス感染症対策観光振興補助金)総額約2,000万円を活用しました。
「奈良SDGs学び旅」の開発と検証、ガイド研修、プロモーション
学び旅のプログラム開発
東大寺 コースマップ
「関西ビジョン研究会」は、8月28日(金)、「万博を軸に関西の観光力の再興を」をテーマとする第1回研究会をホテルアジール・奈良で開催しました。コロナ禍での開催を鑑み、会場参加者を関西の文化振興に深く関わる産官学の20数名に限定しましたが、併せてWebでの配信も実施することでより多くの方に視聴いただけるよう配慮しました。
研究会は2部構成とし、第1部では、イベント学会副会長であり平城遷都1300年記念事業「平城遷都1300年祭」のチーフ・プロデューサーを務められた福井昌平氏に、『ふりかえれば、未来!!「関西・歴史文化首都」プロジェクトと「2025大阪・関西万博」』と題する講演をいただき、過去の博覧会の成功の秘訣や、大阪・関西万博を成功に導くアイデアについて伺いました。
冒頭でも述べたとおり大阪・関西万博が関西の「歴史文化首都」としての魅力を国内外に発信するまたとない機会であること、万博の成功に向け「地球市民」としての感性の育成と連帯が必要であること、また関西の魅力を更にアピールするために「関西・スポーツ首都」「関西・食文化首都」も戦略として取り上げることも効果的であること、さらに「歴史文化首都=関西」を世界に向けて構築するため国際記念物遺跡会議(ICOMOS)世界総会を関西に誘致することも大事であることなど、数多くの博覧会事業を手掛けてこられた名プロデューサー福井氏ならではの視点や着眼点に満ち溢れた講演となりました。
続く第2部で、福井昌平氏を囲んだ懇親会を行いました。会場参加者のほぼ全員が参加し、各々の関西再興への熱い思いが活発に交わされた有意義な懇親会となりました。
当公益社団法人は「関西ビジョン研究会」の中核組織として、来年度以降も研究会を継続開催し、コロナ後及び万博を見据えた関西再興への機運を盛り上げていく予定です。
ワークブックの制作

大人向けブックレット

大人向けブックレット
「奈良SDGs学び旅」をベースとした大人向けブックレット(55ページ)と中学生向けガイドブック(65ページ)の2種類を制作しました。日本ESD学会の前会長でもある長友恒人奈良教育大学名誉教授に監修いただき、奈良の歴史、自然、伝統や文化等の各分野・テーマに精通した15名の研究者・専門家に、各々の魅力について執筆いただきました。
これらを、旅マエの事前学習、旅ナカの確認、旅アトの振り返りの各フェーズで活用することで、より有意義な学び旅となることが期待できます。また、旅ナカや旅アトで学んだことや気づいたことをすぐに書き込めるよう、随所にワーク(空白)欄を設けました。
ツアーガイドのへの研修

SDGs座学研修

春日山原始林コース フィールドワーク研修
奈良を訪れた観光客にSDGsの視点で捉え直した観光施設から持続可能な社会への思いを高めていただくためには、観光客に同行し各施設の案内を担うツアーガイトの役割が極めて重要です。そこで、2021年1月、地元奈良のガイド団体「なら・観光ボランティアガイドの会 朱雀」、「奈良まほろばソムリエの会」、「春日山原始林を未来へつなぐ会」のメンバーを対象に「奈良SDGs学び旅」ツアーガイド研修を実施しました。実施にあたり、奈良教育大学からの協力をいただきました。
座学研修では、「SDGsとESDの基礎知識、奈良で学べるSDGs」「主体的・対話的で深い学びを引き出すガイド方法」の講義、また計2回のフィールドワーク研修では、ならまちや春日山原始林を舞台に、「たくさん問いかけること」「教え過ぎないこと」等、座学研修で学んだガイドのコツやノウハウについて実地練習を行いました。受講したガイドからは、「SDGsの視点で奈良を見つめ直すことができた」「持続可能な奈良の魅力を多くの人に伝えたい」等の声が寄せられました。
モニターツアーによるプログラムの検証

郡山西中学校 2年生

明日香村役場・観光関係者
「奈良SDGs学び旅」プログラムの有効性を検証するために、奈良教育大学やガイド団体の協力の下、1月~2月にプログラムに則ったモニターツアーを計5回実施しました。
修学旅行を想定したモニターツアーには、大和郡山市立郡山西中学校の1、2年生計200名に参加協力していただきました。また、研修旅行を想定したモニターツアーには、明日香村及び吉野町の観光関係者に参加いただきました。さらに、インバウンド富裕層を想定したモニターツアーも実施し、いずれのツアーも参加者からの満足度は高く、またアンケート分析を通じ課題や改善事項を整理することができました。
プロモーション活動
「奈良SDGs学び旅」をより多くの方に知っていただくために、広報やPR活動にも力を入れてきました。
公式Webサイトの立ち上げ、更に3本の学び旅動画や上記モニターツアーの動画等を作成。それらを公式Webサイト、YouTube、Twitterで配信しました。加えて、奈良新しい学び旅推進協議会の川井徳子実行委員長(当公益社団法人専務理事)が、2月2日にならどっとFM「ひるラジ784」、2月15日にABCラジオ「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」に生出演し、「奈良SDGs学び旅」の取り組みを紹介しました。
さらに、2月26日には『「教育」×「もてなし」=「奈良SDGs学び旅」』と題するシンポジウム(基調講演及びパネルディスカッション)を奈良公園バスターミナルで開催しました。奈良が持つ観光・文化遺産や学びの場としての魅力とポテンシャル・その保全、おもてなしとは何かについて、それぞれの専門家の方に語っていただきました。参加者は、観光をSDGs的視点から磨きなおすという新たなスタイルの「奈良SDGs学び旅」について耳を傾けていました。

ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です

奈良公園室 竹田室長 基調講演

パネルディスカッション
当公益社団法人は、今回の「奈良SDGs学び旅」開発・検証で得た成果と課題を踏まえ、今後より多くの人々が「奈良SDGs学び旅」に満足していただけるよう、その磨き上げと商品化、旅を演出するスタッフ人材の育成、広報・プロモーション等に取り組んでまいります。
関連サイト
2020年12月、「伝統建築工匠の技:木造建築物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。
当公益社団法人は、伝統木造建築技術の次世代への継承に向け、かねてより数々のシンポジウム開催や関係省庁への提言活動等を展開してきました。こうした中、今回の登録は、当公益社団法人の今後の活動への追い風になると認識しています。
日本の伝統木造建築技術の普及により、林業、建設業、観光業等への経済効果に加え持続可能な社会の実現への効果も期待されます。これらの効果創出に貢献するために、今後は、大阪・関西万博も視野に置いた国内外へのPR、関連省庁間連携への働きかけや民間への協力要請等に取り組む予定です。
関連サイト
当公益社団法人は、社会が抱える諸問題を構造的に深堀・発信するべく、社会科学の専門家による自由闊達なWeb対談やシンポジウムを開催・運営しています。
社会の問題を構造的に深堀し発信する
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日本経済は急激かつ大幅に後退しました。政府によれば2020年度の実質経済成長率は対前年比でマイナス5.2%の見通しとなっています。とりわけ奈良県を支える観光経済に目を向ければ、日本人の国内旅行消費額は2020年5月には前年比約9割の減少となっています。感染拡大防止と経済活動の両立は非常に難しく、今もなお感染拡大防止のために経済活動の抑制を余儀なくされている状況です。
こうした現状の中、当公益社団法人は、2019年度に取り組んだMMT研究会(Modern Monetary Theory:現在貨幣理論)での成果を踏まえ、「SSL Forum」事業を立ち上げました。この取り組みは、社会科学分野の専門家によって社会を構造的にとらえることを通じて、社会の歴史や階層上の構造問題を深堀して発信していくことを目指したものです。
コロナからの早期回復に向けたWeb対談開催
今回の取り組みとして、下記のとおり「コロナ恐慌緊急提言」と題したマクロ経済学の専門家によるWeb対談を企画・開催しました。そして、対談を動画に収録し当公益社団法人の公式WebサイトやYouTubeを通して公開することで、より多くの閲覧者・視聴者に提案し、感想や意見を求めていくこととしました。
対談テーマ |
対談者 |
公開日 Youtube |
コロナ恐慌緊急提言 第1章 |
浜田 宏一氏 (元内閣官房参与、イェール大学名誉教授)
藤井 聡 氏 (元内閣官房参与、京都大学大学院教授)
飯田 泰之氏 (明治大学政治経済学部准教授、当公益社団法人理事)
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5月1日 Youtube |
コロナ恐慌緊急提言 第2章 Part-1 「財政均衡主義への固執を断ち切れ!!」 |
飯田 泰之氏 (明治大学政治経済学部准教授、当公益社団法人理事)
井上 智洋氏 (駒澤大学経済学部准教授)
中里 透 氏 (上智大学経済学部准教授)
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5月8日 Youtube |
コロナ恐慌緊急提言 第2章 Part-2 「米国の巨大な財政・金融政策。その時日本は?」 |
5月12日 Youtube |
コロナ恐慌緊急提言 第2章 Part-3 「本当の危機はこれからだ!」 |
5月19日 Youtube |
コロナ恐慌緊急提言 第3章 「売り上げ3か月完全蒸発!大企業も債務超過に?」 |
浜田 宏一氏 (元内閣官房参与、イェール大学名誉教授)
中井 康之氏 (全国倒産処理弁護士ネットワーク理事長、弁護士)
川井 徳子氏 (当公益社団法人専務理事)
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6月25日 Youtube |
第1章及び続く第2章では、従来は是とされていた財政均衡至上主義も今回のコロナ禍においては捨て去るべき考え方であるとの共通認識のもと、第1章ではアベノミクスにも関わってきた元内閣官房参与の2名に、第2章では気鋭の経済学者3名に、各々新型コロナに立ち向かい日本経済を復活に導く経済政策について、500兆円規模の金融・財政政策を次々と実行に移してきた米国の事例も紹介しながら対談していただきました。
これらの内容を受け、第3章では、経済学者で元内閣官房参与の浜田宏一氏と倒産・事業再建の第一線で活躍する弁護士の中井康之氏から、コロナで落ち込んだ企業を単なる「融資」や「貸付」という形で救済することはもはや困難であるとの認識に基づき、大規模な財政出動や債務超過を防止する企業再生支援スキームの構築を核とするアフターコロナへのあるべき政策について提言していただきました。
また、このWeb対談と併せ、様々な専門家の知見を含めた調査・研究をベースとする新型コロナ感染症対策に関する提言書を作成し、この提言書を基に、奈良県選出の国会議員、政府関係省庁、県内の自治体や関係団体等への提言活動を実施しました。
「SSL Forum」で社会の活性化に貢献
「SSL Forum」は、社会科学分野の専門家による従来にない自由闊達なディスカッションの場を企画・運営することで、社会的問題とその解決方向を科学的・構造的に深堀・提示することを目的とする当公益社団法人の事業です。
コロナ禍が長引いている現況を踏まえ、引き続きコロナ禍から早期経済再生に向けた提言活動に取り組むとともに、今後はコロナに留まることなく幅広い分野における課題にもアプローチすることで、社会の活性化に貢献することを目指していきます。
中小企業等への経営支援活動
2020年度は奈良県内における全産業において新型コロナウイルス感染症の影響が出た年でした。コロナの影響に苦しむ中小事業者様が現在の事業環境を前向きに捉え、再起と飛躍を図るための支援を1年通じて行ってきました。認定計画策定が11件(事業継続力強化計画10件、経営力向上計画1件)、補助金申請分含む経営計画策定が21件(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金4件、小規模事業者持続化補助金16件、奈良県再起支援事業補助金1件)となりました。
特に本年度は近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れにそった“無人書店Naramachi Book Space ふうせんかずら”を開店された有限会社ならがよい様の支援が最も印象に残っています。本案件は、新古書店に入店・購入・退店まで全て無人でできるシステムを取り入れ、かつ24時間ライブ配信機能をもった“タナミル”を開発しECサイトで利用者が新着商品等を把握し購入し易くした取り組みです。各店舗によって個性が違う新古書店業界においてはロングテール的な商品戦略を行うため、在庫管理の煩雑さに課題を抱えており、本取組は新古書店の課題を解決できる革新的な取り組みだと言えます。
コロナによる影響が続く中、今後も中小事業者様の事業再構築や事業再生、創業支援といったことを中心とした経営支援活動を行っていきます。
当公益社団法人は、年に一度日本文化発祥の地・奈良で開催される、高校生が主役の大会「英語パフォーマンス甲子園」を共催することで、次世代の青年の育成に取り組んでいます。
アイデンティティに基づき「持続可能な社会に向けたアクションプラン」を世界に発信する
英語パフォーマンス甲子園は、高校生が自らの文化や伝統、環境や習慣を探求しながら持続可能な社会に向けたアクションプランを考え、国際言語である英語と言語を超えるパフォーマンスで世界に発信する大会です。
グローバル化が進展する社会においては、文化的背景を異にする多様な人々の交流が広範囲にわたって展開すると予想されるため、先を見通すことがより一層困難となります。こうした不確実性の時代には、自らのアイデンティティを確立しながら、自分が本当に伝えたいことを伝え、相手の伝えたいことを的確に受け取ることで信頼関係を築いていくことが必要です。
英語パフォーマンス甲子園は、こうした時代の要請を踏まえて開催されています。この大会を主催する団体として、2015年、「英語パフォーマンス甲子園実行委員会」が設立されました。内閣官房参与(当時)・元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の木曽功氏を顧問、帝塚山大学学長(当時)の岩井洋氏を委員長とし、実行委員会は教育関係者や観光関係者などで構成され、行政(奈良県・奈良市)もオブザーバーとして参画しています。当公益社団法人も、理事長が委員として参画するとともに、事務局も当公益社団法人内に設置することで、大会及び実行委員会を支援しています。
奈良を中心に関西の高校が出場 第2回大会を開催
一昨年の第1回大会に引き続き、2019年9月8日(日)、奈良県大和郡山市のDMG MORI やまと郡山城ホール(大ホール)にて、「第2回英語パフォーマンス甲子園」大会が開催されました。
大会理念は「ESD―つなぐ―つなぐことはうみだすこと」でした。持続可能な未来や社会につながる人材を育むというESD(Education for Sustainable Development 持続可能な開発のための教育)の趣旨に鑑み、この大会をESD実践の場とするべく、この理念が採択されました。
大会では、約450名の来場者と来賓の方々のもと、奈良県、大阪府から9校が出場し、多種多様な演目とパフォーマンス(音楽、劇、書道、コント、等)で舞台を盛り上げました。
一方、審査委員長の吉川宗男氏(ハワイ大学 名誉教授)、及び、柴尾智子氏(公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター シニアアドバイザー)、西島和彦氏(Youth Theatre Japan株式会社 劇団運営委員長)、スザンナ・パヴロスカ氏(Kyoto Journal 副編集長)の各審査委員により、独創性、コンセプト、表現力、英語力、チームワークの5つの審査基準による審査が行われました。
審査の結果、クラーク記念国際高等学校 大阪梅田キャンパスがグランプリ校(奨学金10万円)に、奈良県立郡山高等学校と奈良県立青翔高等学校の2校が準グランプリ校(奨学金5万円)に輝きました。また、奈良県立平城高等学校が特別賞(しかまろくん賞)を受賞しました。
「英語パフォーマンス甲子園」応援大使 キャラクター任命
今後「英語パフォーマンス甲子園」を全国へ発信するための応援大使として、3匹のひよこのキャラクターが任命されました。ESDの価値観、視点を育てることをこれから成長する「ひよこ」に例えています。第2回大会の来場者に3匹のキャラクターの名前を募集し、応募されたアイデアの中から名前が決定されました。

「カール」意味:culture

「ネイト」意味:naturee

「フュー」意味:future
「ESD」の普及啓蒙を図るべく、「0から学ぶ!ESD新聞」を配布
英語パフォーマンス甲子園実行委員会は、大会理念である「ESD」についての普及啓蒙と出場校の拡大を目的に、「0から学ぶ!ESD新聞」を概ね月1回発行し、これまでの出場校や今後出場が期待される高校等に配布しています。
「ESD新聞」では、「ESD」の目的、必要とされる価値観や視点についての解説をはじめ、地域社会における「ESD」取り組み事例の紹介、各出場校が大会で発信したアクションプランの「ESD」の切り口からの紹介、等の記事が掲載されています。
各高校では、先生方や生徒たちの目につく場所に掲示され、いくつかの高校から「ESDの基本的な考え方が理解できた」「大会への出場を考えてみたい」といった声も寄せられています。
当公益社団法人は、日本の伝統的空間を支える匠の技を未来に継承する活動を推進・支援しています。
匠の技を取りまく状況
日本の原風景を形づくる伝統的な建築物や庭園、石垣などの空間。それを支えてきたのが数々の匠の技、すなわち、自然を敬い自然と共に生きながら、自然を生かす技術を磨いてきた職人の努力と英知の蓄積です。しかし、こうした匠の技は、高度経済成長以降の産業構造の変化や日本人の価値観・生活スタイルの変化などにより、その存続に厳しさが増しています。建築基準法の壁や職人の後継者不足等の問題を抱え、存亡の危機に瀕しているとも言われています。
一方、2019年3月、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が2020年秋のユネスコ無形文化遺産登録に向け再提案されました。しかしながら、その対象範囲は一部の匠の技に限られており、伝統的空間を広くカバーするには至っていません。
当公益社団法人は、今後、伝統木造建築物等の伝統的空間を支える匠の技の普及啓発と、ユネスコ無形文化遺産の登録対象範囲を広げる活動を推進することで、より多くの職人や技術者の活躍の場を増やし、伝統文化の継承や地域の活性化に貢献したいと考えています。
匠の技の普及啓発に向け、フォーラム開催
さて、2020年秋のユネスコ無形文化遺産候補である「伝統建築工匠の技」の普及啓発活動の一環として、8月4日、東京日本橋の奈良まほろば館において、「普請文化フォーラム2019 平城宮大極殿院の復原から学ぶ~史跡上における復元の法的、技術的手法を探る」を、奈良まほろば館、一般社団法人伝統を未来につなげる会、及び当公益社団法人の主催で開催しました。
このフォーラムは、奈良・平城宮跡歴史公園に復原中の大極殿院にスポットを当て、この復原工事を現在各地で計画されている伝統建築技術と現代の建築技術が融合した建築物への参考とすることで、匠の技の普及啓発を狙いとしたものです。
当日のパネルディスカッションでは、松本浩氏(国土交通省・国営平城宮跡歴史公園事務所所長)、上田忠司氏(㈱竹中工務店設計本部伝統建築グループ・工学博士)にパネリストで、津村泰範氏(長岡造形大学造形学部建築・環境デザイン学科准教授)にはコーディネーターでご登壇いただき、伝統技術による木造新築復元(復原)工事の経緯やプロセスを紹介、今後の課題、等にも踏み込んでお話しいただきました。
関連サイト
当公益社団法人は、安堵町の地域振興に向け、歴史的財産発掘のための調査研究や関連行催事への支援を行っています。
安堵町の偉人
安堵町(2019年12月1日現在:面積4.31平方キロメートル、人口7,392人)は、過去から多くの文化人・偉人を輩出してきた町です。古くは聖徳太子にさかのぼり、太子が斑鳩と飛鳥を馬で通った太子道、休憩のため腰かけたと伝えられている御幸石が現存しています。晩年の住まいであった飽波葦墻宮(あくなみあしがきのみや)が安堵にあったという伝承もあります。また、戦国時代には、筒井氏一族である土豪「中氏」が活躍しました。更に幕末以降、天誅組に加わった、国学者伴林光平と親交があった今村文吾、文吾の甥で奈良県再配置運動を推進した今村勤三、勤三の四男でBCG接種を確立し大阪大学第5代総長を務めた今村荒男と続きます。そして、今村荒男と親交が深かった近代陶芸の巨匠富本憲吉はこの安堵の地で後世に残る名作の数々を生み出してきました。

今村 勤三

今村 荒男

富本 憲吉
勉強会によるスタッフ支援
富本憲吉の生家である滞在型宿泊施設「うぶすなの郷 TOMIMOTO」で働くスタッフのお客様対応力を高めるため、「富本憲吉勉強会」を定期的に実施しています。スタッフが富本憲吉の人生観や作品について深く学び、それをお客様に伝えることで、お客様がより満足感を持って施設に滞在いただければと願っています。
行灯づくり ワークショップの企画・運営
安堵町の極楽寺に祀られている「阿弥陀如来坐像」のもと、あかりを灯して世界平和を祈る「あんど祈りのつどい」。そのイベントに併せ、8月5日(月)、地元「灯芯保存会」の協力を得て、行灯の制作体験会とライトアップを企画・運営しました。富本憲吉が作品のモチーフとしていたテイカカズラを含む押し花や、安堵町で作られている灯芯や井草を用い、地域住民の方々や海外からのお客さまにも行灯づくりを楽しんでいただきました。
関連サイト
当公益社団法人では、日本の伝統的空間を未来につなぎ、世界に発信する活動を推進・サポートしています。
伝統的空間がもたらす波及効果
日本の原風景を形作る伝統的な建物や庭などの空間。それを支えてきたのが伝統的構法と匠の技です。木や土のように生きている自然の素材を加工して利用する伝統的な日本建築並びに作庭、石垣建造等の巧妙な技術は、我が国独自のもので、外国には例がありません。そして、これらの技術が継承されてきた背景には、自然と共に生き、自らもまた大いなる自然の一部だけと感得しつつ、常に素材の特徴に目を向けて技術を磨いてきた日本人の努力と英知の蓄積があります。
しかし、これらの技術は、高度経済成長以降の産業構造の変化や日本人の価値観・生活スタイルの変化等により厳しさを増しています。建築基準法の壁や後継者不足等の問題を抱え、存亡の危機に瀕しているとも言われ、とりわけ豊かな森林資源を有し法隆寺等の伝統木造建築が数多く存在する奈良県では、林業や伝統産業の衰退は地元経済への大きな打撃となっています。
このような状況の中、文化庁では檜皮葺、左官技術等の17の保存技術で構成される「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を2020年秋にユネスコ無形文化遺産登録を目指して申請されることが決定しました。しかしながら、日本の伝統的空間は今回の選定技術だけではなく、幅広い分野の技術によって受け継がれてきました。今後、更に多くの伝統技術が選定されることで関連業界に大きな経済効果と波及効果が生まれ、地域及び日本経済の創生・活性化が期待できます。
シンポジウム・フォーラムの開催をサポート
伝統的建築工法並びに伝統的な建築に関連する匠の技術のユネスコ無形文化遺産への活動を主導してきたのは、故中村昌生氏(京都工芸繊維大学元名誉教授)を会長として発足した「一般社団法人 伝統を未来につなげる会」です。本会は、中村会長が提唱した『庭屋一如』に基づき、伝統工法による木造建築を継承するとともに、建築を取り囲む自然との共生を促すことで、大自然との関係を修復することを目的として活動を進めています。当公益社団法人も同会の設立趣旨に賛同し、様々な活動をサポートしてきました。
その一環として、4月28日、明治大学アカデミーホールにおいて、講演&パネルディスカッション「普請文化フォーラム2018~未来へ継承すべき伝統建築・庭園・石垣技術」が開催され、当公益社団法人も共催団体として参画しました。本フォーラムでは、それらの現状を改善するために「全ての職人に光を!」という目標を掲げ、開催しました。
第1部として、内田祥哉氏(東京大学名誉教授・建築家)に基調講演「日本建築の伝統的な価値を巡って」を、千田嘉博氏(奈良大学教授・城郭考古学者)に特別講演「加藤清正の名城熊本城の大普請」というタイトルで講演を行っていただきました。




また、2部のパネルディスカッションでは、コーディネーターとして後藤治氏(工学院大学理事長)、パネリストとして進士五十八氏(福井県立大学学長。造園学者)、島崎英雄氏(専門学校職藝学院オーバーマイスター)、小林正美氏(明治大学副学長。建築家・都市デザイナー)、飯田泰之氏(明治大学政治経済学部准教授)にご登壇いただきました。「伝統建築技術の継承・活用で切り拓く日本の未来」をテーマに建築をはじめとする、各分野専門の方々から新たな切り口のディスカッションとなりました。
職人の方々がメッセージを発する「職人宣言」のコーナーでは、各職人の方々が想いを熱く語られました。
また、11月23日には、明治大学アカデミックフェス2018において「〜Discovering Japanese culture〜日本の伝統建築の魅力とその理由」の開催を後援しました。
近代までの日本人は人間も自然の一部として認識しており、暮らしや住まい方も、自然と一体化することを目指してきました。本シンポジウムでは失いつつある日本の住まい方を捉えなおすためにグローバル目線で見た日本が持つ魅力と持続可能な社会について深めていきました。
関連サイト
当公益社団法人は、年に一度日本文化発祥の地・奈良で開催される、高校生が主役の大会「英語パフォーマンス甲子園」を共催することで、次世代の青年の育成に取り組んでいます。
アイデンティティに基づき「本当に伝えたいこと」を伝える
英語パフォーマンス甲子園は、高校生が自らの文化や伝統、環境や習慣を探求しながら「本当に伝えたいこと」を見つけ、国際言語である英語と言語を超えるパフォーマンスでそれを伝え合う大会です。
グローバル化が進展する社会においては、文化的背景を異にする多様な人々の交流が広範囲にわたって展開すると予想されるため、先を見通すことがより一層困難となります。こうした不確実性の時代には、「どう生きるのか」についての自らのアイデンティティを確立しながら、自分が本当に伝えたいことを伝え、相手の伝えたいことを的確に受け取ることで信頼関係を築いていくことが必要です。
英語パフォーマンス甲子園は、こうした時代の要請を踏まえて開催されています。この大会を主催する団体として、2015年、「英語パフォーマンス甲子園実行委員会」が設立されました。内閣官房参与(当時)・元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の木曽功氏を顧問、帝塚山大学学長(当時)の岩井洋氏を委員長とし、実行委員会は教育関係者や観光関係者などで構成され、行政(奈良県、奈良市)もオブザーバーとして参画しています。当公益社団法人も、理事長が委員として参画するとともに、事務局も当公益社団法人内に設置することで、大会及び実行委員会を支援しています。
奈良を中心に関西の高校が出場 第1回大会を開催
一昨年のプレ大会に引き続き、昨年2018年8月24日(金)、奈良県大和郡山市の DMG MORI やまと郡山城ホール(大ホール)にて、「第1回英語パフォーマンス甲子園」大会が開催されました。
大会理念は「ESD―つながる―」でした。持続可能な未来や社会につながる人材を育むというESD(Education for Sustainable Development 持続可能な開発のための教育)の趣旨に鑑み、この大会をESD実践の場とするべく、この理念が採択されました。
大会では、300名を超える来場者と来賓の方々のもと、奈良県、大阪府、兵庫県から9校が出場し、多種多様な演目とパフォーマンス(音楽、劇、書道、スピーチ、等)で舞台を盛り上げました。
一方、審査委員長の村上憲郎氏(元Google米国本社 副社長 兼 Google Japan 代表取締役)、及び、吉川宗男氏(ハワイ大学 名誉教授)、柴尾智子氏(公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター シニアアドバイザー)、ガー・レイノルズ氏(京都外国語大学 教授)、西島和彦氏(Youth Theatre Japan株式会社 代表取締役)の各審査委員により、独創性、コンセプト、表現力、英語力、チームワークの5つの審査基準による審査が行われました。
審査の結果、奈良県立桜井高等学校がグランプリ校(奨学金10万円)に、奈良県立ろう学校と大阪府立豊中高等学校の2校が準グランプリ校(奨学金5万円)に輝きました。また、関西創価高等学校と奈良県立法隆寺国際高等学校が特別賞(しかまろくん賞)を受賞しました。