奈良県立図書情報館にて『雅楽の大型楽器「鼉太鼓」展』を開催しました。

2012年03月01日


2012年1月31日(火)より2月26日(日)の期間、奈良県立図書情報館2Fメインエントランスホールにて、雅楽のパネル展示と、雅楽楽器・鼉太鼓(だだいこ)1対の展覧会を開催しました。

 

今回展示されている鼉太鼓は、昭和30年代に制作されたものを、ノブレスグループが修復・新調されたものです。

 

修復前の鼉太鼓は、火焔が鳳凰の彫刻で右方、鼓面の仕立てや鼓胴が龍の彩色で左方となっており、右方左方が入り混じっている状態で、今回は、火焔の彫刻を主と見て右方を修復、左方を総新調したという経緯があります。

 

「東洋の総合芸術」として世界から注目されている雅楽は、古代から伝わる神楽歌、東歌、倭歌、5~7世紀にアジア諸国から外来した楽舞、平安時代に生まれた催馬楽などの総称です。近年、ユネスコの世界文化遺産にも登録され、現存する合奏音楽としては世界最古と言われております。

 

中でも鼉太鼓は、所有している社寺などは全国でも数少なくたいへん貴重なものです。 鼉太鼓は、装飾性に富んだ楽器ですが、そのモチーフにはそれぞれ意味が込められています。

 

 

 右方の鳳凰は太陽の運行を司る神の使者で、五彩を放ち高貴な美声を持つとされています。

 

また、左方の龍は雨を司る霊獣で「水の循環」を意味します。 モデルの一種で信仰の 厚かった蛇が脱皮することから「死と再生」のシンボルとされてきました。

 

雲は、雨を呼び五穀豊穣をもたらすシンボルです。 龍や鳳凰の周囲に描かれ、その生気を表しています。

 

太鼓部分に描かれている巴(ともえ)は中国の太極の思想に則り、陰陽の対立と調和を表しています。 中国や朝鮮では二つ巴がポピュラーですが、日本では奇数による和が重んじられ、 平安時代以降、陰の二つ巴に対し、陽を表す三つ巴も用いられるようになりました。

 

このように、鼉太鼓の装飾は中国の神話や儒教、仏教に由来しています。 それらは歴代の中国の皇帝の礼服紋様として知られている「十二章の紋様」と共通しています。

日本では天平4年(732年)に聖武天皇の礼服に取り入れられて以来、 孝明天皇(江戸時代最後の天皇)の即位(1847年)まで千年余りの間、用いられてきました。

 

神事や、演奏会等で、遠目で見る機会はあっても、 なかなか間近でその装飾をご覧いただける機会は珍しいのではないでしょうか。

 

 

<イベント概要>

タイトル:雅楽の大型太鼓、鼉太鼓展

期間:1/31(火)~2/26(日)  ※但し、休館日は奈良県立図書情報館に準ずる

会場:奈良県立図書情報館2階 メインエントランスホール

入場料:無料

主催:奈良県立図書情報館、ノブレスグループ、社団法人ソーシャル・サイエンス・ラボ

イベント問い合わせ先:奈良県立図書情報館  TEL 0742-34-2111 (代表)

 

<ノブレスグループ所有 鼉太鼓概要>

サイズ:W 約1.5m×D 約1.5m×H 約4.1m (火焔最大W 2m、H 約2.8)

仕様:<右方>鼓胴に鳳凰の彩色、火焔に鳳凰の彫刻
   <左方>鼓胴に龍の彩色、火焔に龍の彫刻 
   <パネル展示内容> 雅楽とは/奈良と雅楽/雅楽の楽器/鼉太鼓について 演目のご紹介 
            【蘭陵王(らんりょうおう)/萬歳楽(まんざいらく)/迦陵頻(かりょうびん)】 
※期間中、会場にて雅楽翠篁会第八回雅楽演奏会(2010年)のDVD上映あり