【連携事業】大学その他の機関との連携

当公益社団法人は、県内の大学をはじめ関係機関と連携し、地域文化や経済の活性化に寄与する活動を提案・サポートしています。

帝塚山大学 経営人類学研究会をサポート

「経営人類学」は、組織や社会の管理・運営など、経営的側面に文化的視点からアプローチする文化人類学の一分野です。この学問分野は、1993年に国立民族学博物館の会社文化をテーマとする共同研究(代表者:中牧弘允氏・日置弘一郎氏)からはじまり、本年、25周をむかえました。その研究成果は、「経営人類学シリーズ」(東方出版)や欧文書籍をはじめ、数多く出版されてきました。2015年以降は、研究会の拠点を帝塚山大学にうつし、現在にいたります。
 今年度、はじめての試みとして、産官学連携に資する取り組みとして、さまざまな「仕掛け」をテーマとした公開シンポジウム(当公益社団法人が後援)を開催し、産官学各界から数多くの皆様にご参加いただきました。今後とも、帝塚山大学経営人類学研究会では、「経営人類学」研究を推進するとともに、地域社会や産官学連携に資する実践的研究を展開します。当公益社団法人も積極的にサポートしてまいります。

 

 

 

日本ESD学会をサポート

 ESDは、人類が発展的に持続可能な社会を実現するための価値観や行動を生み出す変容の教育のことです。持続可能な社会の構築に資することを目的とし、学校、企業、行政、市民、学生等が立場・分野を越えて協働する場である日本ESD学会が2017年4月に設立され、事務局が奈良教育大学次世代教員養成センター中澤静男研究室内に設置されました。
 2018年2月12日、「持続可能な社会に向けての歴史文化遺産教育の創造」をメインテーマとする日本ESD学会第1回近畿地方研究会が奈良教育大学で開催、開催に向けた実行委員会のメンバーとして当公益社団法人の川井徳子専務理事が参画しました。当日は、奈良大学名誉教授西山要一氏の記念講演で始まり、その後6か所の分科会会場に分かれ、研究者が日頃の研究成果を発表、会員と相互に研鑽し合う有意義な研究会となりました。
 当公益社団法人は、今後も研究会・シンポジウム等の開催を企画・サポートするとともに、関係する機関への積極的な働きかけを行ってまいります。

 

【プロジェクト】安堵町 地域振興構想

今年度、さらに次年度にかけて安堵町の歴史的財産の再発掘のための調査研究を行っています。さらにその成果を生かし、観光や地域経済の活性化に結び付ける近隣の自治体との連携を模索しています。

 

地域の経済構造改革の先進事例として紹介されました

大正大学地域構想研究所が編集・発行する情報誌「地域人」第23号(2017年7月10日発行)に、高市早苗総務大臣(当時)、西本安博安堵町町長、当公益社団法人専務理事の川井徳子の巻頭鼎 談が掲載されました。
 総務省が推進した「ローカル10,000プロジェクト」に採択された奈良県安堵町の地域活性先進事業として、またノブレスグループのイノベーションマネジメント成果としての「うぶすなの郷 TOMIMOTO」の全容がわかる、8ページの巻頭特集で紹介されました。

 

 

ふるさと納税の返礼品に選定されました

 うぶすなの郷 TOMIMOTOの開業に伴い、安堵町のふるさと納税の返礼品(ペアランチ券、ディナー券、宿泊券など)のラインナップが増えました。また、期間限定の返礼品として、富本憲吉のテイカカズラ模様の風呂敷で包んだ「うぶすなの郷 TOMIMOTOのおせち」が販売されました。

 

安堵町の偉人

 安堵町(2017年10月1日現在:面積4.31平方キロメートル、人口7,374人)は、過去から多くの文化人・偉人を輩出してきた町です。古くは聖徳太子にさかのぼり、太子が斑鳩と飛鳥を馬で通った太子道、休憩のため腰掛けたと伝えられる御幸石が現存しています。晩年の住まいであった飽波葦墻宮(あくなみあしがきのみや)が安堵にあったという伝承もあります。また、戦国時代には、筒井氏一族である土豪「中氏」が活躍しました。
 さらに、幕末以降、天誅組に加わった国学者伴林光平と親交があった今村文吾、文吾の甥で奈良県再配置運動を推進した今村勤三、勤三の四男でBCG接種を確立し大阪大学第5代総長を務めた今村荒男、と続きます。
 そして、今村荒男と親交が深かった近代陶芸の巨匠富本憲吉は、この安堵の地で後世に残る名作の数々を生み出してきました。

 

【プロジェクト】伝統建造物に関連する匠の技を無形文化遺産に

当公益社団法人は、日本の伝統的建造物に関連する匠の技をユネスコ無形文化遺産に登録する運動を推進・サポートしています。

 

無形文化遺産がもたらす波及効果

 日本の原風景をかたちづくる伝統的な建築や町並み。それらをつくり、支えてきたのが伝統建築構法です。木や土のように生きている自然の素材を加工して利用する伝統的な日本建築並びに作庭、石垣建造などの精巧な技術は、我が国独自のもので、外国には例がありません。そして、これらの技術が継承されてきた背景には、自然と共に生き、自らもまた大いなる自然の一部だと感得しつつ、常に素材の特質に目を向けて技術を磨いてきた日本人の努力と英知の蓄積があります。
 しかし、これらの技術は、高度経済成長以降の産業構造の変化や日本人の価値観・生活スタイルの変化等により厳しさを増しています。建築基準法の壁や後継者不足等の問題を抱え、存亡の危機に瀕しているとも言われ、とりわけ豊かな森林資源を有し法隆寺等の伝統木造建築物が数多く存在する奈良県では、林業や伝統産業の衰退は地元経済への大きな打撃となっています。
 さて、2013年に日本の伝統的な食文化(和食)がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで国内外に「和食ブーム」がまき起こり、関連業界に大きな経済効果をもたらしました。日本の建設業の市場規模は約50兆円です。伝統的な食文化と同様、伝統建築構法並びに伝統的な建築に関連する匠の技術がユネスコ無形文化遺産として登録されることで、日本的景観の保護、観光資源としての日本のまちづくりによる外国人観光客の増加、国内森林資源の活用による林業の再生・活性化と自然との共生による持続可能な社会の構築(SDGs)、後継者育成によるこれらの技術の保護・継承の促進等、建設(建築及び土木)や住宅産業分野を中心に「和食ブーム」にも勝る大きな経済効果と波及効果が生まれ、地域及び日本経済の創生・活性化が期待できます。

 

 

無各省庁・業界を巻き込んだ All Japan の取り組みへ

 伝統建築構法並びに伝統的な建築に関連する匠の技術のユネスコ無形文化遺産登録への活動を主導してきたのは、2014年末に梅原猛氏(哲学者)が呼びかけ人代表、中村昌生氏(京都工芸繊維大学名誉教授)を会長として発足した「伝統木造技術文化遺産準備会」です。2015年3月のキックオフフォーラム以降、「伝統構法:日本建築の匠の技をユネスコ無形文化遺産に!」というスローガンのもと、さまざまな活動を展開、当公益社団法人も同会の設立趣旨に賛同し、こうした活動をサポートしてきました。
 その一環として、6月24日、奈良春日野国際フォーラム甍〜I・RA・KA〜能楽ホールにおいて、「日本の伝統建築技術と木の文化の未来〜ユネスコ無形文化遺産登録へ〜」講演&シンポジウムを「伝統木造技術文化遺産準備会」と当公益社団法人の共同主催で開催しました。伝統木造技術文化遺産準備会長の中村昌生氏の開演挨拶、奈良県知事の荒井正吾氏の来賓挨拶で始まり、2020年東京オリンピック新国立競技場の設計者である隈研吾氏(東京大学教授、建築家)の講演「新国立競技場と和の建築」、鈴木嘉吉氏(元奈良国立文化財研究所長)、木曽功氏(千葉科学大学長、元ユネスコ全権大使)、進士五十八氏(福井県立大学長、元日本造園学会長)によるパネルディスカッション「匠の技から学び豊かな未来に」と続き、当公益社団法人の川井徳子専務理事がパネルディスカッションのコーディネーターを務めました。
 今回の講演&シンポジウムを通じ、伝統的建造物に関連する匠の技のユネスコ無形文化遺産登録への気運を高めてきました。そうした折、2018年2月に開催された無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議において、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が、2020年に登録されるユネスコ無形文化遺産(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)への提案案件として決定されました。しかし、その対象範囲は一部の伝統木造建築の保存・修理技術の範囲に留まっており、伝統的建造物に関連する匠の技全体をカバーするものではありません。そこで、中村昌生氏が会長を務める「一般社団法人 伝統を未来につなげる会」と当公益社団法人とが中心となり、対象範囲を広げることを要望、関連省庁や業界、政界、学会を巻き込んだAll Japanとしての活動を開始します。

 

 

東京でフォーラム開催

次年度早々には、「一般社団法人 伝統を未来につなげる会」に「伝統木造技術文化遺産準備会」を統合し、新体制にて、拡大された申請範囲での2020年(オリンピックイヤーでもある)ユネスコ無形文化遺産登録への活動をより強力に展開します。
 この活動の1つとして、2018年4月28日、明治大学アカデミーホールにおいて、「普請文化フォーラム2018」(※)を「一般社団法人 伝統を未来につなげる会」の主催、当公益社団法人の共催で開催します。中村昌生会長の開催挨拶の後、内田祥哉氏(東京大学名誉教授、建築家)の基調講演「日本建築の伝統的な価値を巡って」、千田嘉博氏(奈良大学教授、城郭考古学者)の特別講演「加藤清正の名城熊本城の大普請」を行います。続いて「伝統建築技術の継承・活用で切り拓く日本の未来」をテーマとするパネルディスカッションを、コーディネーターに後藤治氏(工学院大学理事長)、パネリストに島崎英雄氏(専門学校職藝学院オーバーマイスター)、進士五十八氏(福井県立大学長、造園学者)、小林正美氏(明治大学副学長、建築家・都市デザイナー)、飯田泰之氏(明治大学政治経済学部准教授)を招いて行います。


(※)普請とは…家を建築したり修理したりすること。建築工事。また、道・橋・水路・堤防などの土木工事。(出典『デジタル大辞泉』(小学館))

【支援事業】英語パフォーマンス甲子園

当公益社団法人は「英語パフォーマンス甲子園実行委員会」主催のもと、次代の青年を育成するために年に一度日本文化発祥の地・奈良で開催される、高校生が主役の大会「英語パフォーマンス甲子園」を、共催団体として活動を推進しています。

 

アイデンティティを重視「自分」を伝える

「英語パフォーマンス甲子園実行委員会」は2015年に発足し、行政(奈良県・奈良市)をオブザーバーに、内閣官房参与(当時)・元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の木曽功氏が顧問、帝塚山大学の岩井洋学長が委員長に就任してスタートしました。実行委員には教育関係者以外に(公社)奈良市観光協会専務などの観光関係者なども含まれています。

 開催理念には、多様な文化を認め合い異文化理解を深めて持続可能な社会づくりをめざすユネスコの理念が盛り込まれています。

 グローバル化が進展する社会においては、文化的背景を異にする多様な人々の交流が広範囲にわたって展開すると予想され、またより一層先を見通すことも困難になります。そのため、「どう生きるのか」についての自らのアイデンティティを確立し、自分の本当に伝えたいことを的確に伝え、相手の伝えたいことを的確に受け取ることで、信頼関係を築いていく必要があります。

 一方、2022年度から高校教育の現場ではアクティブラーニングに力をいれた英語教育が実施されますが、生徒一人ひとりにとっては、課題を身体ごと受け止め、楽しみながら自分で積極的に課題を解決していく新たな姿勢が必要となります。

 こうした流れを踏まえ、この大会は単に語学力やパフォーマンスのすばらしさを競う大会ではなく、何をどのように伝えるのか、異文化の相手に身体ごと伝えようとする表現力や伝達力を評価の基準としています。

 

 

奈良を中心に関西の高校が参加 プレ大会を開催

 当公益社団法人では、本実行委員会の事務局も当公益社団法人内に置くとともに、理事長も実行委員として委員会に参加することで、積極的に甲子園開催の活動を進めてきました。そして819日(土)午後、奈良市ならまちセンター市民ホールにて「英語パフォーマンス甲子園」プレ大会を開催しました。

 開催テーマは「地域文化と持続可能な社会」としました。これは、現在全ての国連加盟国が「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に取り組んでいることを踏まえ、本大会を持続可能な社会の実現に協働できる青年を育成していくひとつの機会にしたいという期待を盛り込んだものです。

 奈良県を中心に関西の高等学校9校が参加し、独創性、コンセプト、表現力、英語力、チームワークを競い合いました。一方、審査委員長に村上憲郎氏(元Google米国本社副社長兼 Google Japan 代表取締役)、審査員に吉村あき子氏(国立大学法人奈良女子大学副学長)、ガー・レイノルズ氏(京都外国語大学教授)、金子啓子氏(株式会社ベネッセホールディングス

CPO)、得能絵里子氏(株式会社アクティブラーニング副社長)に就任いただき、語学力だけで判断するのではなく、伝えるための表現力、プレゼンテーション力、日本の文化や地域についての理解など、従来の英語スピーチ大会や弁論大会では審査の対象になっていない視点も加えた審査をいただきました。

 大会は成功裏に終了し、大阪府立豊中高等学校がグランプリ校(奨学金10万円)、関西創価高等学校と関西千里国際高等部の2校が準グランプリ校(5万円)を獲得しました。また、奈良県立桜井高等学校が特別賞(しかまろくん賞)に輝きました。

 

 

本大会開催 「つながり」をキーフレーズに英語×パフォーマンスで世界に発言

2018年824日(金)午後、奈良県大和郡山市 DMG MORI やまと郡山城ホールにて開催します。大会理念は「ESD -つながる-」としました。後援は、奈良県教育委員会、大和郡山市、大和郡山市教育委員会、京都府教育委員会、滋賀県教育委員会、三重県教育委員会、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、ESD活動支援センターが確定しています。グランプリ、準グランプリには奨学金等を用意し、応募料、参加費ともに無料です。大会に先立ち、526日(土)には、ESD活動支援センター次長の柴尾智子氏をお迎えし、教員や地域の方々を対象とするセミナーの開催を予定しています。

【カルチャー事業】奈良ウェルネス倶楽部(熊本復興支援)

熊本復興支援イベント「今わたしたちにできること」
映画無料上映会・「東北・熊本」物産展・チャリティ販売会など
9月11日(日)奈良ウェルネス倶楽部にて開催!

 

4月に発生した熊本地震の復興のため、私たちに出来ることは何かを考え、平成28年9月11日(日)に熊本地震復興支援イベント「今わたしたちにできること」を開催いたしました。
地震前の熊本を題材にした映画の無料上映や熊本物産品の販売、受講生作品のチャリティー販売会を開催し、来場者の皆さまとともに被災地へ支援の想いを届けました。

 

 

映画「うつくしいひと」製作/くまもと映画製作実行委員会

震災前の美しい熊本の風景に思いを馳せ、それが熊本の支援になることを願いました。 監督・脚本/ 行定勲 脚本/ 堀泉杏 出演/ 橋本愛、姜尚中、高良健吾、石田えり、米村良太郎ほか

 

映画上映会の様子

 

チャリティー作品販売 会場の様子

 

熊本×東北物産展・飲食コーナーの様子

 

いつくしみコンサート会場様子

 

行定勲監督に尼﨑理事長から「熊本地震復興支援イベント」の義援金目録を手渡す

 

【カルチャー事業】奈良ウェルネス倶楽部-通常講座-

奈良ウェルネス倶楽部は民間では関西トップクラスの規模と実績を有するカルチャー施設です。2007年4月から元社会保険庁なら社会保険センターの事業を継承し、厚生労働大臣認定健康増進施設として「からだ」と「こころ」の健康づくりを通して、地域コミュニティーの活性化に貢献しています。

 

2016年度の運営目標は
「魅力ある講座の運営と受講生の交流促進」でした。

①300講座の運営について創意工夫し、多くの受講生確保に努める
②施設外での出張講座や外部提携講座の推進に努める
③受講生や講師による外部イベントへの積極的な参加により知名度を高める
④奈良ゆかりの伝統工芸・芸術などの地域色豊かな講座の開発に努める
⑤各種団体や自治体等と提携した特別催事や新規事業の開発に努める

 

所在地・当公益社団法人本社屋奈良市西大寺国見町1-7-22(近鉄大和西大寺駅南口より徒歩5分)

 

高齢者施設等への出張講座

「いつまでも元気で過ごしたい」。これはだれもが願うことですが、高齢者の方には特に切実です。個人差はありますが、心身の老化は高齢化とともに急速に進み、予防改善的な自己ケアを怠ると日常生活で支障をきたす要因になります。
奈良ウェルネス倶楽部は、長年にわたり培ってきた厚生労働大臣認定健康増進施設の実績を活かして「高齢者施設等への出張講座」の展開に取り組み、地域に貢献しています。
現在、奈良市内の高齢者施設に、「ヨガ講座」と「フラダンス講座」の出張講座を開催しており、同施設の方から「講座に参加される方が増えており、皆さん楽しみにされています」とのお声や、「講座に参加された運動効果で、介護棟から自立棟に戻られた方がいます」との嬉しい事例報告をいただいております。
その他、各種団体への出張講座も開催、企業等に講座開設の案内を積極的に行っています。

 

 

施設内での受講生作品展等の開催

 

奈良ウェルネス倶楽部

【連携事業】大学その他の機関との連携

調査研究部門では全国商工会連合会公募の被災地支援事業として「東北わくわくマルシェ」の展開や奈良県公募の上北山村、明日香村、下市町、東吉野村の「一町一村まちづくり構想策定事業」、安堵町公募の「安堵町まちなか再生計画」などの策定事業にかかわってきましたが、外部組織との連携も積極的に推進しています。

 

帝塚山経営人類学研究会をサポート

当公益社団法人の日置弘一郎理事と中牧弘充氏(現・吹田市立博物館長)の国立民族学博物館定年退職に伴い、研究活動の拠点がなくなっていた経営人類学の拠点を帝塚山大学に移し、新たなメンバーを迎えて研究及び発表を続行することに協力してきました。
昨年度は4回研究会を持ちましたが、今年度は7月にコーネル大学の宮崎広和人類学部教授兼東アジア研究所長を研究会に招き、「東電危機とアベノミクスの金融人類学」というテーマで特別報告をしていただきました。宮崎教授は贈与交換論などで広く世界に知られた学者で、当日は会場となった奈良市内のホテルに多くの研究者が集いました。
我が国の経営人類学の学術的なレベルは非常に高く、国立民族学博物館時代から海外で注目されてきました。その成果を引き継ぐべく帝塚山経営人類学研究会も、今後の活動として研究会だけではなくシンポジュウムの開催等を企画しています。当公益社団法人も趣旨に賛同し、今後も積極的にサポートしてまいります。

 

写真左/金融人類学者・宮崎教授の講演 写真右/岩井学長(左)、宮崎教授(中央)、日置弘一郎先生(右)

 

国立奈良女子大に共同研究を提案

奈良女子大では加齢に関する学際的な学問であるジェロントロジー(高齢学)の研究が行われ、その成果が注目されています。一方、当公益社団法人が運営している奈良ウェルネス倶楽部は、かつて社会保険庁が運営していた時代から、主に高齢者が通っているカルチャー施設です。
そして、公益性が常に問われる組織であるがゆえに活動についてのエビデンス(科学的根拠)が求められています。また、長寿化、高齢化に伴い介護、認知症対策、孤独死、雇用などさまざまな問題が現代社会の問題としてクローズアップされています。
そのため、カルチャー施設の受講生の調査などを含めた「老いを前向きに生きるジェロントロジー(高齢学)」の共同研究を提案しています。
奈良県長寿社会課とも連携して、これからも奈良女子大に限らず、大学等との共同調査・共同研究を提言していきます。

 

 

地方シンクタンク協議会に加入

地方シンクタンク協議会は地域に根ざした課題の調査研究や提言活動を行っている全国のシンクタンクが会員として加入している任意団体です。相互交流を計り、地域での政策提言の質的な向上により地域社会に貢献することが目標で、特別協賛会員である(公財)総合開発研究機構を除き57の組織が加入(本年度末現在)しています。
当公益社団法人も昨年度この協議会に加入、地域での政策提言の立案に取り組む準備を進めています。なお、同協議会では地方シンクタンクフォーラムのほか交流会、視察見学会、テーマ別研究会等も開催。
2月24日(金)奈良ロイヤルホテルホテルで開催された「第15回経営者会議」には当公益社団法人も参加、グループ討論テーマの「観光にみる地方活性化への進展~シンクタンクが考える観光戦略~」について意見の交換を行いました。

 

 

【連携事業】安堵町 地域振興構想

今年度、さらに次年度にかけて安堵町の歴史的財産の再発掘のための調査研究を行っています。さらにその成果を生かし、観光や地域経済の活性化に結びつけるための近隣の自治体との連携を模索しています。

 

当公益社団法人は平成28年度の事業として、民間シンクタンクのアルパック(地域計画建築研究所)の協力のもとで、安堵町から受託した「安堵町まちなか再生計画」をまとめました。
今年度はさらに当公益社団法人から「アート&(あんど)」という町が目指す方向性を定めた提案を行政に行いました。
そして、この提案を生かすためには、文化的資源を再発掘しつつ斑鳩、平群その他の地域と連携して広域で町づくりをしていく基本戦略と具体的なアプローチが必要なため、現在さまざま調査活動を行っています。
一方、安堵には他の市町村にはない「貴重な財産」があります。その財産を町が国や県からの助成を活かして、どのように地域の活性化に結びつけるのかの研究も始めています。

 

 

近代化に貢献した今村家の人々

安堵町の最も貴重な財産は、文化遺産と古代から続く歴史であり、水運によってもたらされた他文化の人たちとの交流によって営々と蓄積されて来た「知の集積」です。
また、安堵の自然が育んで来た「自然に学び生きる」という利害を離れて大局に立ち自らを深めていく生き方です。
総務省では2018年(平成30年)が明治元年から満150年の年に当たるため「明治150年関連施策」の推進に力を入れ、全国の自治体に公募を行っています。「明治以降の歩みを次世代に遺す」「明治の精神に学び、更に飛躍する国へ」がその趣旨です。
さらに、2021年は聖徳太子没後1400年に当たるため「聖徳太子プロジェクト」を組んで、奈良県では県内のゆかりのある市町村や府県などと連携した様々なイベントによる情報発信を実施し、地域の聖徳太子関連の歴史文化遺産活用につながる取り組みを進めています。
昨年11月には文化庁も歴史文化基本構想の策定事業の公募を行いました。対象は全国の市町村ですが、単独もしくは連携して策定することが条件で、市町村が県の担当部署を経由して文化庁へ申請することになります。
この事業は次年度以降も継続されると思われます。
一方、安堵は数多くの偉人を生んでいます。伴林光平ら明治維新の魁となった天誅組の主要メンバーらと親交があり、自らも知識人として広く知られていた今村文吾、文吾の甥で奈良県の再設置運動のリーダーだった今村勤三、彼の四男で結核治療に貢献し、医学界にいまも今村賞が引き継がれている第五代大阪大学総長の今村荒男などを輩出した今村家の近代日本の国づくりに大きく貢献した足跡が残っています。今村荒男は人間国宝第一号の富本憲吉とは旧制郡山中学時代からの友人で富本の生涯の友でした。その今村荒男の業績をもっと広く世の中の人々に知っていただく取り組みについて、当公益社団法人では安堵町に提案、協議した結果、次年度の国民文化祭の事業として取り上げられることになりました。

 

写真左/旧今村家本家(現・安堵町歴史民俗資料館) 写真右/飽波神社

 

市町村連携の鍵は学術的な調査研究に

安堵の地に関連した偉人の歴史は聖徳太子にまでさかのぼることができます。
聖徳太子が最後に住んだ飽あくなみあしがきのみや波葦墻宮は安堵にあったという伝承があります。安堵町は斑鳩と飛鳥を太子が馬で通った太子道が町内を走っていることで知られ、太子が休憩のため腰掛けたと伝えられる御幸石が現存していますが、発掘を伴う学術調査はまだ本格的に行われていません。飽波神社の由来についても調査が必要だと思われます。古文書に「飽波集団」が法隆寺に幡(ばん・旛)を納めた記録があります。飽波は渡来系の機織りの部族かもしれません。秦氏とも関わりがある可能性があります。
聖徳太子の時代、飽波評という地域がありましたが、太子の死後、大宝律令のもとでは郡へと地位が下がり、平群評が新たに誕生しています。
聖徳太子を巡ってはまだ謎も多く、他の市町村と連携していく上でも早急な学術調査とそれに基づく市町村間の調整が望まれます。

 

【プロジェクト】日本の伝統建築技術等を無形文化遺産に

当公益社団法人では、日本文化の基である「木の文化」に着目し、林業に関連する技も含めて、日本建築、作庭、築石等の「匠の技」の無形文化遺産登録を目指す活動を推進・支援しています。

 

奈良県には1993 年に我が国初のユネスコ世界文化遺産に登録された世界最古の木造建造物である法隆寺ほか多くの世界文化遺産があります。
そして、法隆寺はいまも大工の神、心技一体のシンボルである聖徳太子を祀る寺として信仰の対象になっています。
一方、これらの背景にある生きた自然の素材を加工して利用する伝統的日本建築並び作庭、石垣建造などの精巧な技術を新たなユネスコの無形文化遺産に推挙し、登録を目指す活動が始まっています。
当公益社団法人では、これらの技術や生業を未来につなげるため無形文化遺産登録を目指して活動している、2014年に発足した「伝統木造技術文化遺産準備会」の趣旨に賛同し、昨年度より同会との協力のもとで独自に活動を進めています。日本文化の源流である奈良、木の文化とともに磨かれてきた「普請の技」が失われると、継承されてきた茶の文化をはじめ礼儀、作法まで含めた日本の伝統文化そのものが廃れてしまう可能性があるからです。
「伝統木造技術文化遺産準備会」は哲学者の梅原猛氏が顧問、国立京都迎賓館の伝統的技能活用検討委員会委員長だった数奇屋建築の第一人者である中村昌生氏が会長の民間の組織で、伝統的な構法を内外に紹介し広めることによって、ユネスコの無形文化財遺産登録を目指す会です。
また、この会は登録をゴールではなく新たなスタートとして、日本の美しい原風景を残し、職人の技術や暮らしを守りつつ豊かな緑とともに生きる持続可能な社会を創出することを最終目標にして活動しています。

 

 

地元・奈良の地域活性化を目指して

奈良県は県土の約80%を森林が占める森林県で、特に吉野地方は豊かな土壌に加えて年間雨量や平均気温にも恵 まれ、年輪幅が細かく強度に優れ節の少ない日本屈指の良質材の産地として知られています。
ともすれば、樹木の伐採は環境破壊、地球温暖化につながると誤解されがちですが、若くて成長の活発な樹木ほど二酸化炭素の吸収量が多く、植林・間伐・伐採の管理されたサイクル確立が地元の林業の存続の鍵となっています。
しかし、現実は厳しく外材の輸入増加によって、国産材の価格は30年前の3分の1にまで落ち込んでいます。さらに需要の約60%を建設用材が占めていますが、間伐材などを利用した集成材や合板など低コストの利用が大半で、木材が本来持っている特質が生かされていない現実があります。
当公益社団法人としても、地元産業の活性化のためには、林業の衰退、建築関連の大工を始めとする職人の技の継承が危ぶまれている現実にどのように対処して道筋を提示できるかが、大きな課題でした。

 

省庁をまたぐ無形文化遺産登録を目指す会にも参画

2013年の和食、日本人の伝統的な食文化の無形文化遺産は国内外から注目され、多大な経済効果を生んでいます。伝統建築等にかかわる技の素晴らしさが世界に認知されることにより、生業、国内諸産業の活性化のみならず海外からの観光客増加にもつながります。
こうした観点に立脚して、「伝統木造技術文化遺産準備会」などの働きかけによって今年の2月下旬には内閣府、文化庁、国土交通省など諸省庁承諾のもとで、元文化庁長官の佐々木正峰氏が会長、哲学者の梅原猛氏が名誉顧問の全 国組織「日本の『匠の技』の保存・活用とユネスコ無形文化遺産登録を推進する会」が発足しています。また、当公益社団法人もこの会に事務局として参加しています。

 

佐々木正峰会長(左) 梅原猛顧問(中央) 中村昌生副会長(右)

 

次年度、奈良でシンポジウム開催

 次年度の2016年度には「日本『匠の技』の保存・活用とユネスコ無形文化遺産登録を推進する会」発足後の対外的な活動を、当公益社団法人と伝統木造技術文化遺産準備会の共同主催で、まず奈良から始めることが決まっています。
6月24日(土)、奈良春日野国フォーラム甍~ I・RA・KA ~に於いて、2020年東京オリンピック新国立競技場設計者の隈研吾氏を招き、「日本の伝統建築技術と木の文化の未来」という講演&シンポジウムを開催する予定です。
シンポジュウムには鈴木嘉吉氏(元奈良国立文化財研究所長)、木曽功氏(千葉科学技術大学長)、進士五十八氏(福井県立大学長)が参加、コーディネーターを当公益社団法人の川井徳子専務理事が務めます。

 

【安堵町プロジェクト】うぶすなの郷 TOMIMOTO

富本憲吉の息遣いを感じる風景- 美しい暮らし 豊かな時間。五感が心地よいと感じる空間

当公益社団法人は2013年11月に安堵町の旧富本憲吉記念館を取得し、運営先の企業と「芸術家・富本の創作空間を感じる宿」「寛げる宿」を目指して、企画段階から約2年間討議を重ねて来ました。
我が国の人間国宝第一号の富本憲吉の言葉に「樹を見るは陶器を見るに似たり」という含蓄の深い言葉があります。樹木の根を育てるのは、その土地の自然、歴史・風土です。デザインはもとより制作工程の細部まで見直して、自然に即し独自のスタイルを確立した富本の芸術家としての原点を大切にして、今年3月に「うぶすなの郷 TOMIMOTO」がオープンしました。
これからも、より一層深く富本憲吉の原点を大切にして、「美しい暮らし 豊かな時間。五感が心地よいと感じる空間」の提供を目指します。
なお、このポリシーが評価されたのか、オープン前から地域創生、行政の補助金活用の成功例としてマスコミに取り上げられて来ました。

 

 

うぶすなの郷 TOMIMOTO